補助金の選定と、申請時に作成する事業計画書が重要!
起業時は、多くの初期費用がかかり、資金繰りに悩むことも少なくありません。
そんな時に活用したいのが、補助金や助成金です。これらの制度を上手に利用すれば、事業に必要な設備費や人件費、広告費の一部が補助され、経費が実質的に戻ってくる可能性もあります。
この記事では、起業家が知っておくべき補助金・助成金の基本情報や申請を外注すべき理由について解説します。
ビジネスを成功させるための資金調達に役立てましょう。
目次
補助金・助成金とは?
ここでは補助金と助成金の違いについて解説していきます。
補助金・助成金の違い
補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体が提供する資金ですが、目的や条件が異なります。
補助金は、特定の事業やプロジェクトに対して支給され、成果に応じて部分的に補助されるのが一般的です。
一方、助成金は特定の用途に限定されず、事前の審査を通過すれば比較的自由に使える資金です。
ただし、どちらも返済不要ですが、報告義務や審査基準に違いがあるため、申請時には注意が必要です。
起業時に補助金・助成金を活用する理由
ここからは起業時に補助金・助成金を活用する理由について解説していきます。
多くの経費を節約できる
起業時に補助金や助成金を活用する大きなメリットは、初期費用を大幅に節約できる点です。
事業を立ち上げる際には、設備投資や人件費、広告費など多くの経費がかかりますが、これらの一部を補助金・助成金でカバーすることで、自己資金の負担を軽減できます。
また、資金が確保されることで、事業の運転資金や成長戦略に余裕を持たせることが可能となり、経営リスクを抑えることにもつながります。
集客の予算を増やせる
起業時に補助金や助成金を活用することで、集客に割ける予算を増やすことが可能です。
通常、起業初期は資金が限られており、広告やマーケティングに十分な投資が難しい場合がありますが、補助金や助成金を活用することで、他の経費を節約し、その分を集客に回すことも可能です。
効果的な広告戦略やプロモーションを実施できることで、顧客獲得がスムーズに進み、事業の早期安定や成長を後押しする重要な要素です。
事業を軌道に乗せる手助けとなる
補助金や助成金は、起業初期の不安定な時期に事業を軌道に乗せるための強力なサポートです。
資金調達に成功すれば、設備投資や運転資金、商品開発などに余裕が生まれ、事業計画の実行がスムーズに進みます。
また、資金面での安定があることで、事業に専念でき、成長戦略や市場拡大に積極的に取り組むことが可能になります。
起業時に抑えておきたいの補助金
ここからは起業時に抑えておきたい補助金について紹介していきます。
小規模事業者持続化補助金
“引用元”:小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や特定非営利活動法人が対象です。
制度変更への対応や、持続可能な経営を目指すための販路開拓や生産性向上に向けた取り組みの費用を一部支援し、地域の雇用創出と産業の持続的発展を支援します。
- 申請方法:原則として電子申請(GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要)
- 補助上限額:50万円~200万円(申請枠により異なる)
- 主な要件:策定した経営計画に基づいて活動を行うこと
- 対象者:公募要領に定められた小規模事業者など
通常枠の上限は50万円で、他の枠は一律200万円が上限です。
さらに、インボイス特例が設定されており、特例条件を満たす場合は50万円が追加で支給されます。
第15回受付では、13,336件の申請のうち5,580件が採択されました。
個人事業主も申請可能なため、客観的に評価される経営計画の策定が重要です。
IT導入補助金
“引用元”:IT導入補助金2024
生産性向上を目的としたITツール導入に対して受けられる補助金です。
ITツールの導入によってデジタル化や自動化が進み、労働環境の改善とともに生産性や賃金の向上が期待できます。
適用範囲が広く、DX推進にコスト面で悩む企業にもおすすめの制度です。
- 申請方法:原則電子申請(GビズIDプライムアカウントが必要)
- 補助上限額:5万円~3,000万円(申請枠や企業規模などで異なる)
- 主な要件:「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」の実施など
- 対象者:公募要領に定められた中小企業や小規模事業者など
IT導入補助金2024年には、通常枠、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠、さらに2つの類型から成るインボイス枠が設けられています。
第10次締切分の通常枠(A類型)は、申請数3,330件のうち2,531件が交付されました。
各枠ごとに補助上限額や補助率が異なり、対象経費も異なるため、自社の目的に合った枠を選び申請することが重要です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が働き方改革、賃上げ、インボイス制度への対応、サービス開発、試作品作成、設備投資などにかかる費用を支援する制度です。
過去の第18次公募では、3つの主要な申請枠が設けられており、それぞれ補助上限額や補助率が異なります。
また、大幅な賃上げを行うことで上限額が引き上げられる点も特徴です。
公募内容は変動する可能性があるため、公式ホームページで最新情報を確認しましょう。
- 申請方法:電子申請(GビズIDプライムアカウントが必要)
- 補助上限額:750万円~1億円(申請枠や賃上げ内容により異なる)
- 主な要件:付加価値額や給与支給総額の増加を含む事業計画書の策定および実行
- 対象者:公募要領に定められた中小企業、小規模事業者、その他法人など
第18次締切分では、5,777件の申請があり、2,070件が採択されました。
3年以上の事業計画を策定し、事業成果の確認が必要なため、慎重に計画を練って申請しましょう。
申請のポイントを押さえ、プロダクトがどのように社会課題に対応しているかをアピールすることが重要です。
中小企業診断士や税理士など専門家のサポートを受けながら申請を準備する企業も多く見られます。
都道府県による創業特化の補助金
ここでは都道府県による創業特化の補助金について解説していきます。
創業助成事業(東京都)
東京都の「創業助成事業」は、都内で新たに事業を立ち上げる中小企業や個人事業主を支援する補助金制度です。
対象となる経費には、広報費や人件費、設備費などが含まれ、創業期の経済的負担を軽減することで事業の安定化を図ります。
助成金額は上限400万円で、助成率は3分の2となっています。また、申請には事業計画書の提出が必要で、計画の実現性や成長性が審査のポイントです。
大阪
大阪府では、創業を支援するためにそれぞれの市町村などが「創業支援事業補助金」を提供しています。
これは、大阪府内で新たに事業を始める中小企業や個人事業主を対象に、創業にかかる経費を一部補助する制度です。
対象となる経費には、設備投資や広報活動、販路開拓費用などが含まれます。
補助金額や条件は年度ごとに異なるため、最新の公募要項を確認する必要があります。
創業期の資金面での支援を通じて、地域経済の活性化や新たな事業の成長を促進することを目指しています。
その他
全国各地の都道府県でも、創業支援に特化した補助金制度が展開されています。
例えば、福岡県では「福岡市新規創業促進補助金」が提供され、県内で新規事業を立ち上げる際の設備費や広告宣伝費などを補助しています。
また、愛知県や兵庫県などでも、地域の産業振興や雇用創出を目的に、創業期の資金支援を行っています。
各自治体によって補助金の内容や申請要件が異なるため、地元の支援制度をよく確認し、活用することが重要です。
補助金申請の専門家
ここからは税理士や行政書士などの補助金申請の専門家について紹介していきます。
税理士
企業の財務状況を熟知している税理士は、事業計画書の作成や財務データの整理をサポートし、補助金申請の際に必要な資料を正確かつ迅速に準備できます。
また、税務に精通しているため、補助金の受給後の税務処理や経理対応も一貫してサポートが可能です。
特に、財務面の信頼性を高めるため、補助金の審査を通過するために税理士のアドバイスを活用することは非常に効果的です。
行政書士
行政書士は、補助金申請の手続きに関する専門家です。
特に、申請書類の作成や必要書類の収集、提出までの過程全般をサポートします。
補助金の申請手続きは複雑なことが多く、行政書士の豊富な知識と経験により、申請漏れや記入ミスを防ぐことができます。
また、最新の法規や公募要項に精通しているため、各種補助金の要件に応じた的確な申請を行える点も大きなメリットです。
社労士
社会保険労務士(社労士)は、主に人件費に関わる補助金申請で頼れる専門家です。
雇用に関する助成金や補助金の申請に精通しており、例えば雇用促進や働き方改革に関する助成金を受ける際に、適切なアドバイスを提供します。
申請に必要な労働条件や従業員管理に関する書類の作成をサポートし、条件を満たすための実務的な改善提案も行います。
社労士の専門知識を活用することで、労務関連の補助金申請がスムーズになり、成功率も高まります。
補助金申請は外注すべき理由
ここでは補助金申請を外注すべき理由について解説していきます。
事業計画書の作成が重要
補助金申請では、事業計画書の作成が最も重要な要素の一つです。
審査では、計画の具体性や実現性、事業の成長性が厳しく評価されますが、適切な事業計画書を作成するためには専門的な知識と経験が求められます。
外注することで、補助金申請に精通した専門家が、審査通過の可能性を高めるための内容を整え、必要なデータを効果的に反映させることができます。
自社だけで進めるリスクを避け、外注によって質の高い計画書を作成することが、申請通過への近道です。
プロに任せて事業に集中する
補助金申請を外注する最大のメリットは、専門家に任せることで自社の事業に集中できる点です。
補助金の申請手続きは複雑で時間がかかり、書類作成や条件確認に多くのリソースを割く必要があります。
しかし、これを専門家に依頼することで、申請業務を効率的に進めると同時に、ミスを減らすことが可能です。
経営者やスタッフは本来の業務に専念でき、事業の成長に注力できるため、結果として生産性の向上にもつながります。
まとめ
起業時に利用できる補助金や助成金は、初期費用の負担を軽減し、事業の成長をサポートする重要な資金源です。
適切な制度を活用すれば、経費の一部が戻ってくるため、資金繰りの改善や設備投資の強化が可能です。
ただし、申請には事業計画書の作成や条件の確認が必要で、プロに依頼することで成功率を高めることができます。
起業時にしっかりと補助金・助成金の情報を把握し、活用することで、事業の安定したスタートを切りましょう。